この夏、実家のキッチンをリフォームすることになった。
母の長年の希望であり、古くなった設備を一新して、もっと使いやすく快適な空間にしたいという思いがあったからだ。工事は約5日間かかり、その間は当然ながらキッチンが使えない状態になった。
料理好きの母にとって、台所が封鎖されるのはかなりのストレスであったようだ。家族の食事は、コンビニ弁当やレンジで温める総菜が中心となり、時には近くの定食屋に出かけることもあった。最初のうちは「これはこれで気楽だね」と笑っていたが、数日が過ぎると「やっぱり自分で作ったご飯が食べたい」と口にするようになり、改めて料理が母の日常の一部であることを実感した。
工事の音やほこりもあり、家全体が落ち着かない雰囲気だったが、新しくなったキッチンを前に母はとても嬉しそうだったと父が話していた。
広くなった作業スペース、ピカピカのシンク、使いやすい収納。ひとつひとつを確認しながら「これで料理が楽しくなる」と心から嬉しそうだった。
「キッチンが新しくなったから、ご飯食べに来て」と言われて実家に行くと、家族の好物である肉じゃがが用意されていた。食べ慣れた味なのに、どこか特別に感じられたのは、新しい空間で生まれた料理だからだろう。
キッチンが使えない不便さを数日間味わったからこそ、完成後の喜びはひとしおであった。母が大喜びしている姿を見ることができ、今回のリフォームは単なる設備の更新ではなく、生活をより豊かにする大きな節目になったと感じている。
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